こんにちは!着物インストラクターのflyhighです^^
今回は名前が似ているので混同しやすい伊達衿(だてえり)と半衿(はんえり)の違い、使い方、役目を分かりやすく解説していきます。
また、「衿って一つじゃダメなの?着物を着る時は伊達衿と半衿両方必要なの?」という疑問にもお答えしていきますね^^
伊達衿と半衿の違いは何?使い方と役目は?
あなたは伊達衿と半衿の違いって何だか分かりますか?
ちなみに伊達衿は重ね衿(かさねえり)とも言うのですが、そんなに〇〇衿、〇〇衿と一気に言われたら初心者さんはもちろんのこと、初心者さんじゃなくても「ん??もう一回言って、何?」って名前も似ているので分からなくなってしまいますよね^^;
ただ名前だけ覚えようとすると記憶にも残りにくく覚えにくいですが、衿の名前と役目のイメージが結びつくと覚えやすく、間違いにくくもなりますので、今回は分かりやすくするために表にしてお見せしますね!
伊達衿(重ね衿) | 半衿 | |
形 | 長さ120cm~130cmx巾11cm | 長さ100~110cmx巾16cm |
種類 | 金銀・色柄・パール・レース等 | 白無地・刺繍・色柄・ビーズ・レース等 |
仕立て | 裏地付き・両面使えるものもある | 一枚布・片面のみ使える |
使い方 | 長襦袢のえりに縫い付ける | 着物のえりに縫い付けるかクリップで付ける *着物に縫い付けるのに抵抗がある場合は 長襦袢に縫い付ける場合もあり! |
役目 | 装飾、特に重ね着のように見せ豪華にする | 装飾・長襦袢の汚れ防止 |
このようにの違いをあげてみましたが、なんとなくイメージが湧いてきましたか?
箇条書きではいまいちピンと来ないと思いますので、もう少し詳しく、お話していきますね^^
伊達衿(重ね衿)とは?
見て下さい!!!お雛様の幾重にも重なったこの豪華な襟!!
伊達衿の起源はここにあります。
遠い昔、このように高貴な階級の人達は着物を幾重にも重ねて豪華絢爛に着飾っていました。
現代ではなかなかこのようなお着物を目にする機会はありませんが、皇后様が即位礼正殿の儀でお召になられた十二単(じゅうにひとえ)なら見たことがあるという人も多いかもしれませんね^^
上の表でもご紹介しましたように、伊達衿とは裏地付き、もしくは両面使えるリバーシブルになった少し厚めの生地で出来ています。
伊達とつくだけあって伊達メガネと同じ用になくても成り立つけど、あったらオシャレだよね!という風に結びつけて覚えると記憶に残りやすいかなと思います^^
また、はじめに伊達衿は重ね衿とも言うとご紹介しましたが、これも覚えやすくて、上のお雛様の様に何枚も重ねて着る=重ね着=重ね衿という風に意味を覚えると、混同せず間違いにくいですよね!
ちなみに慶び(よろこび)が重なりますようにと願いを込めて慶事の時にこの重ね衿を使うのよ。
いずれの呼び方も意味を知っておくと、ただ名前を覚えるより簡単ですよね^^
時を重ね、現代ではお着物自体は変わらず伝統的なスタイルですが、小物類は特に進化し便利になり、バリエーションも豊かになっています。
伊達衿もその一つですね!
元々は十二単の様に重ねて着ていたお着物も、現代社会ではそんな風に重ねて着ることは滅多にありません。
そこで、伊達衿が役に立ちます。
伊達衿なら専用のクリップで着物にさっと付けるだけで、一瞬で重ね着したような豪華で重厚感のある雰囲気に変身できます^^
ただクリップは個人的には長時間着るにはズレてしまうこともあり、あまりおすすめできません。
着崩れが心配な場合は、糸で直接着物に縫い付けておくと安心です。
着物と同系色の色を選んでグラデーションにしても素敵ですし、着物と正反対の色を入れてアクセントにしてもいいですね!
選び方がよく分からない人は帯締めや帯揚げの色と似た色を選ぶとまとまり感が出ます^^
最近は色だけでなくパールやキラキラした飾りがライン上についた伊達衿もあり、よりどりみどりですので、わくわくしながらお好みのものを探してみて下さいね!
半衿とは?
半衿は上のえんじ色のものの様に一重の布で出来ているのですが、左側の白に柄の入っている半衿の様に縦に真ん中辺りで折って長襦袢の衿にかぶせ縫い付けて使います。
表でもご紹介しましたが、こちらは装飾以外にも汚れ防止の大事な役目があります。
お化粧や食べこぼし、汗等でどうしても汚れやすいため通常2~3回着たらこの半衿だけ外して手洗いでお洗濯します。
汚れ防止がそもそもの目的だったから、半衿が生まれた初期の頃は黒だったと言われているのよ。
この半衿なのですが、色柄も本当に豊富で刺繍のものも沢山あり、着物上級者は密かにここでおしゃれを競っているくらいです^^
お顔に近い部分なので一番目を引きやすい場所ですし、着物との調和を考えないといけない部分でもあるので、選ぶその人のセンスが光る部分が半衿というわけです^^
上の写真は振り袖を着た女性達ですが、晴れ着だけあって襟元がとっても華やかですね!
こちらはどうでしょうか?
最初に見た振り袖の時のようにこちらも、刺繍のある半衿ですが、随分雰囲気が違って見えませんか?
あなたがもし大人の女性であれば、色無地などわりと落ちついたシンプルめのお着物を着ることのほうが多いですよね。
なんとなくシンプルが故にちょっとさみしくなりがちな色無地でも、半衿だけでこんなに素敵に見せることが出来ます^^
ちらっと覗く南天の赤い実がなんとも粋ではありませんか♪
半衿は見せる幅でも雰囲気が変わります。
最初の振り袖の時のように幅広く出せばより豪華、色無地の時のように狭く出すと控えめな印象に出来ます。
伊達衿と半衿、着物を着る時は両方必要?
ここまで読んでいただいた方は、伊達衿と半衿の違いがあることは分かって頂けたと思います。
ですが、それはなんとなく分かってきたけど、、、
「で、結局着物を着る時は伊達衿と半衿両方必要なの?」「どっちも装飾が役目なら一つじゃダメなの?」そう思った方もいるかもしれません。
結論としては、半衿は絶対必要!伊達衿はお好みで!です^^
確かにイメージ的にはどちらもカラフルな色がついていたり、刺繍の美しいもの、愛らしいパール付きやきらびやかなラインストーンがついているものなど、最近は非常にバリエーションも豊かで豪華なものが沢山ありますのでどちらか一つ好きなデザインがあったほうを使えば良さそうな気もしますよね^^;
ですが、表にも書きましたが、伊達衿と半衿の大きな役目の違いは、半衿には汚れ防止の重要な役割があるということです。
また、汚れ防止の他に、実は半衿がついていないと衿にハリを出すために入れる衿芯が入れられません!
フニャフニャの衿ではせっかくの着物が台無しよ。
沢山の人が着物を着ていた時代、日本髪の襟足付近の下に張り出した髪が衿にあたって汚れないようにする為に半衿を用いたのですが、衿芯を入れて衿をピンと整えるのは、その名残ね^^
ちなみに、この少し後ろにぐっと下がったえりの形をつくることを”衣紋(えもん)を抜くと言うわよ。
ということで、半衿は着物を着る時は必須アイテムです。
半衿がないと着物を着れませんので必ず付けましょう!^^
伊達衿については、豪華にするのが目的なので、フォーマル、セミフォーマルな場でお好みで使って頂くという感じで必須アイテムではありません。
ただし、お好みと言ってもちょっとしたおすすめの色があるわよ!
結婚式はおめでたい場だから豪華にいきたい気持ちも分かるんだけど、品よく格をあげるにはさり気ない白の伊達衿もいいんじゃないかしら。
スーツ姿で参列している男性のネクタイも正式には白や白銀色でしょ?^^
成人式や授賞式みたいなパーティでは個性的な差し色でビシッときめるとかっこいいわよ♪
まとめ
今回は慣れないと違いが分かりにくく混同しがちな、伊達衿と半衿について解説していきました。
どちらもおしゃれにする役目は一緒でしたが、半衿には汚れ防止の大事な役目もありましたね!
成り立ちを知り、使う目的や役目が分かった事でそれぞれのイメージが結びつき名前も覚えて頂けたのではないでしょうか?^^
「着物は一枚しか持っていないから、いつもワンパターンなのよね><」という人も衿元でいくらでもイメージチェンジ出来ますので、自分だけの組み合わせを楽しみ、素敵な着物ライフを満喫してくださいね^^